腕を骨折したとき、私は思っていた。
回復するまでの間、生後5か月になる双子の息子たちの世話をどうするか。それが一番大変なことになる、と。
でも、違った。
本当に辛かったのは、私が毎日当たり前のようにやっていたことを、夫がどれほど何も理解していなかったのかを知ったこと。
そして――彼にそれを理解させるために、私がどこまで行かなければならないのかに気づいたことだった。
「ホープ?」
私はすぐには答えなかった。
母のリビングの入り口に立ったデレクは、母の腕の中で眠るルーク、私の胸にもたれているマイルズ、そしてソファの横に置かれた大きなマザーズバッグを見つめていた。
どう見ても、ちょっとした訪問のための荷物ではない。
彼の表情が変わった。
「ホープ? どうして子どもたちがここにいるんだ?」
私はまっすぐ彼を見た。
「私の腕が折れてるからよ、デレク」
「それは知ってる」
「本当に分かってるなら、私が助けを必要としてることも分かるはずよ」
彼の視線が、テーブルの上に置かれた一枚の紙に落ちた。
私たちのために私が作った予定表。
昨夜、彼が従うことを拒んだ予定表だった。
そして彼は再び私を見た。
「子どもたちを連れて出てきたのか?」
「私たちの子どもよ」
「家に連れて帰れ」
「嫌」
彼の顎が強張った。
「ホープ」
「嫌よ」
5か月間、私は毎日、デレクが問題に気づくより前に、すべてを解決してきた。
でも、腕を折った。
その瞬間、私はもう彼の分まで育児をすることができなくなった。
――
二日前。
私は子ども部屋の床に座り、左手だけでルークの寝間着のボタンを留めようとしていた。
右腕はギプスで固定されていた。
背後ではマイルズがぐずり始めていた。
そして、さっき淹れた紅茶は、着替え台の上に手つかずのまま置かれていた。
デレクが部屋に入ってきた。
洗濯したばかりの服が入ったカゴをまたいで、ネクタイを緩める。
そして私を見た。
「夕飯は何?」
私はルークの寝間着と格闘する手を止めた。
「腕、折れてるんだけど」
彼はギプスをちらっと見た。
「知ってる」
私は、彼がそこで何かに気づくのを待った。
でも、何も起こらなかった。
「それで?」
私は彼を見つめた。
「……それで?」
「キッチンが何のためにあるか、思い出してくれると助かるんだけど。せめて、出前を頼むくらいできるでしょ」
彼は笑わなかった。
「今日は10時間働いたんだ」
「私は昨日、階段から落ちたの」
医師は私の骨折した腕をギプスで固定し、完治するまでルークもマイルズも抱き上げないよう、はっきり注意していた。
マイルズがさらに激しく泣き始めた。
「抱いてくれる?」
デレクはスマホを確認した。
「まだ着替えてもいないんだけど」
「マイルズは、あなたが何を着てるかなんて気にしないわ」
「ホープ」
「何?」
「今、帰ってきたばかりなんだ」
「だから?」
「……」
「車で家に入った瞬間、父親じゃなくなるの?」
彼の口元が険しくなった。
「俺が生活費を払ってる」
「それで?」
「仕事から帰ってきて、また別の仕事を始めるつもりはない」
“別の仕事”。
その言葉が胸に残った。
まるで父親でいることが、残業か何かのように聞こえた。
「数週間だけ助けてほしいの」
私は慎重に言った。
「できる日は1時間早く帰ってきて。休みが取れるなら1日休んで。たまには在宅勤務にできないか聞いてみて」
「俺には仕事がある」
「私だって産休に入る前は働いてた」
「だから?」
「今は家にいるだろ」
「赤ちゃんが2人いる家にね」
「でも君のほうが俺より育児に向いてる」
「毎日やってるからよ」
マイルズがさらに大きな声で泣き始めた。
デレクは、まるでその泣き声が迷惑だと言わんばかりにため息をついた。
「そのくらい自分でどうにかできないの?」
「片腕で?」
「もう片方があるだろ」
私は完全に黙った。
すると彼は肩をすくめた。
「子どもが欲しいって言ったのは君だろ」
私は顔を上げた。
「私たちが欲しかったのよ。妊娠する前から、あなたが子ども部屋の写真を送ってきたんじゃない」
「そういう意味じゃない」
「じゃあ、どういう意味?」
私は彼を見つめた。
「今、あなたが誰なのか分からない」
彼は額をこすった。
「俺だって疲れてるんだ、ホープ。母親には病欠なんてないだろ」
私はギプスに目を落とした。
「私は怪我をしてるの」
「それは俺の問題じゃない」
私は彼を見つめた。
「数週間だけ助けてって言ってるの」
「赤ちゃんの世話は君の仕事だろ」
そして彼は部屋を出ていった。
マイルズは泣き続けた。
ルークは小さな両手で私のギプスをつかんだ。
私はそっと手を抜きながら、彼に囁いた。
「大丈夫。ママがいるからね」
私はずっと、こんな言葉を口にしてきた。
「私がやる」
「大丈夫」
たとえ、本当はどちらも違っていても。
翌日の午後、母のノエルがやってきた。

母は、片手でキッチンカウンターにこぼれたミルクを拭いている私を見つけた。
その横では、ルークがベビーシートの中で楽しそうに足をばたつかせている。
「ホープ」
「もうすぐ終わるから」
母は私の手から布巾を取り上げた。
「座りなさい」
「ママ、まだカウンターがベタベタしてる」
「5分後だってベタベタしてるわよ」
私は椅子に座った。
母は電子レンジを開け、そこに置きっぱなしになっていた紅茶を見つけた。
「これ、もう温め直したの?」
「2回」
母は私のことをよく分かっていた。
私が追い詰められると、掃除を始めることも。
母は古くなった紅茶を捨て、新しい紅茶を淹れてくれた。
「デレクは?」
「仕事」
「帰ってきたら?」
私は無理に笑った。
「疲れてるでしょうね、もちろん」
母は私をじっと見た。
私は紅茶を一口飲んだ。
「大丈夫よ」
「その声、私に嘘をついてるときの声よ」
私は目をそらした。
母は説教しなかった。
代わりに双子の世話を手伝い、哺乳瓶を洗い、夕飯を作り、食事が終わるまでいてくれた。
――
その夜。
最初にマイルズが起きた。
数秒後、ルークも泣き始めた。
私はデレクを揺さぶった。
「ルークをお願いできる?」
彼はうつ伏せになった。
「明日、仕事なんだ」
「だから?」
「あと4時間しか寝られない」
ルークの泣き声がさらに大きくなった。
「私もよ」
「君は違うだろ」
私は固まった。
「……どういう意味?」
「子どもたちが寝てるときに寝ればいいだろ」
私は笑いそうになった。
でも、笑えなかった。
私はベッドから起き上がった。
ルークは泣き続けていた。
その横でデレクは毛布を肩まで引き上げ、また眠った。
三日後。
母から電話がかかってきた。
「車が動かなくなっちゃったの。ごめんね。今日は行けないわ」
私は双子を見た。
二人とも、どうしてもお風呂に入れなければならなかった。
「大丈夫よ、ママ」
「一人で二人をお風呂に入れようとしないで」
「しない」
「約束して」
「デレクが帰ってくるまで待つ。約束する」
デレクがようやく帰宅したとき、私はキッチンで彼を待った。
「今夜、子どもたちをお風呂に入れてほしい」
彼は玄関近くの小物入れに鍵を置いた。
「帰ってきたばかりなんだけど、ホープ。ちょっと無理言ってない?」
「帰ってきたばかりなのは分かってる」
「今日はお風呂、やめれば?」
「必要なの」
「濡らしたタオルで拭けばいいだろ。疲れた母親ならそれくらいやる」
「デレク」
彼はため息をついた。
「一日中働いてきたんだ」
「私もよ」
彼は、私がとんでもないことを言ったかのように見た。
「なんで俺まで帰ってきて子どもの面倒を見なきゃいけないんだ?」
私は動きを止めた。
「“まで”?」
「何?」
「今、“まで”って言ったよね」
「それが?」
「あなた、本当に思ってるの? 私が一日を終えたあとに子どもの世話をしてるって」
「君は家にいるだろ」
「ルークとマイルズと一緒にね」
「家にいて、一日中ほとんど何もしてないじゃないか」
いつもの私なら、自分を正当化していた。
授乳。
おむつ替え。
洗濯。
哺乳瓶。
病院の予約。
昼寝。
泣き声。
掃除。
そして、それ以外のすべて。
でも、その日は違った。
私はただ言った。
「……分かった」
デレクは眉をひそめた。
「何が分かったんだ?」
「何でもない」
「その冷静になるやつ、やめろよ」
「何それ?」
「急に何も言わなくなるやつ」
彼は知っていた。
私は争いが嫌いだった。
いつもなら、相手が安心するまで自分の気持ちを説明し続ける。
主に、彼が安心するまで。
でも、その夜。
私はやめた。
――
双子が眠ったあと、私はキッチンテーブルに座った。
痛む腕を折りたたんだタオルの上に置いた。
少し前、ルークが私に手を伸ばしてきた。
でも私は安全に抱き上げることができず、デレクに自分の息子を抱いてもらうよう頼まなければならなかった。
私はノートを開いた。
そして書いた。
お風呂。
夜のミルク。
二人を2階へ運ぶこと。

夜中に一度起きること。
私はそのリストを見つめた。
これは「お願い」ではない。
腕が治るまで、私には安全にできないことだった。
翌日の夜、私はその紙をデレクの前に滑らせた。
彼は紙を見る。
「これ、何?」
「腕が治るまで、変えなきゃいけないこと」
彼は最初の数行を読んだ。
「俺のために予定表を作ったの?」
「私たちのための計画よ」
彼は紙を押し返した。
「自分の家で勤務表みたいなのを作る気はない」
私は彼を見つめた。
「じゃあ、あなたは何をしてくれるの?」
彼の表情が険しくなった。
「ホープ、俺は一日中働いてる」
「知ってる。だから聞いてるの。帰宅したあと、何をするの?」
彼は答えられなかった。
私は紙を指で叩いた。
「二人を同時に抱えない。二人を一人で安全にお風呂に入れない。昨夜、あなたが起きてくれなかったから、私は一人でルークを寝かせようとした」
その言葉で、ようやく彼の表情が変わった。
「そんなことするなよ」
「しなくて済むならね。でも、あなたが何もしなかったから、そうするしかなかった」
デレクは目をそらした。
「俺が代わるべきことを、医者が許可するまでやってくれる?」
「嫌だ」
何日もの間、私は自分に言い聞かせていた。
彼は分かっていないだけ。
私たちはうまく話し合えていないだけ。
もっと上手に説明すれば、きっと理解してくれる。
でも、その答えには何の曖昧さもなかった。
「嫌だ」
私は頷いた。
「分かった」
デレクが眉をひそめた。
「それ、どういう意味?」
「あなたの答えを聞いたってこと」
私は紙を折りたたみ、立ち上がった。
子ども部屋に入り、オムツバッグに手を伸ばしたとき、ルークが少し動いた。
私は息を止めた。
でも、彼は再び眠った。
私は母に電話した。
「ママ。数日、子どもたちと一緒に泊まってもいい?」
電話の向こうで母が黙った。
「何かあったの?」
「新しいことは何もない。それが問題なの」
「ホープ……」
「デレクが自分の子どもを抱こうとしないせいで、これ以上腕を悪化させるわけにはいかない。ちゃんと治さないと。私にはこの腕が必要なの。子どもたちには私が必要だから」
母の声がすぐに優しくなった。
「迎えに行こうか? 車、直ったから」
「うん。荷物をまとめる」
「彼と別れるの?」
私はリビングを見た。
そこではデレクがテレビを見ていた。
「違う。治すために出るの」
その言葉を、私は初めて謝らずに口にした。
1時間後。
母が双子の面倒を見ている間に、私は荷物を車に積み込んだ。
デレクが外に出てきた。
「どこに行く?」
「母のところ」
「ルークとマイルズも?」
「そう」
彼の表情が変わった。
「いつまで?」
「分からない」
「ホープ、勝手に出ていくなんて――」
「私は、ここに残るためにあなたに助けを求めたの」
私はそれ以上言い争わなかった。
車に乗り込んだ。
母の家に着くと、ルークは母の胸で眠っていた。
マイルズは私の隣で小さな足をばたつかせていた。
そのとき、私のスマホが鳴った。
デレクだった。
「子どもたちを連れて帰れ」
「嫌」
「俺は父親だぞ」
「だったら、父親らしくして」
電話の向こうが静かになった。
そして彼の声が鋭くなった。
「これで俺が周りからどう見られるか分かってるのか?」
その瞬間、すべてが分かった。
私が大丈夫かどうか、聞かなかった。
腕がもっと痛くなっていないかも聞かなかった。
子どもたちが元気かどうかも聞かなかった。
彼が気にしていたのは、自分がどう見えるかだけだった。
「本当のことを話せばいい」
「本気か? 俺をろくでもない父親みたいに見せるなんて、よくそんなことができるな」
「私があなたを何かに見せたんじゃない」
「じゃあ、母親には何て言えばいいんだ?」
「本当のことを」
「具体的に何だよ?」
「私が腕を折ったこと。あなたに助けを求めたこと。そしてあなたが『母親には病欠なんてない』って言ったこと」
沈黙。
やがてデレクが言った。
「俺を恥さらしにする気か?」
そのとき、私は完全に理解した。
「あなたは、私が助けを求めていたときには恥ずかしいと思わなかった」
「何?」
「私があなたに助けてって頼んでいたときは、何とも思わなかった」
「ホープ……」
「誰かに知られるかもしれないと思った途端、恥ずかしくなったのね」
私は震える手で電話を切った。
母がそれに気づいた。
何があったのかは聞かなかった。
ただ、マイルズに手を伸ばした。
「この子、私が抱くわ」
「私が抱ける」
「分かってる」
その二つの言葉には、何か強いものがあった。
「あなたにはできない」と言っているのではない。
「あなたが全部一人でやらなくてもいい」と、母は伝えてくれていた。
だから私は、母に任せた。
翌日の夕方、デレクが怒った顔でやってきた。
私がドアを開けると、彼は言った。
「母さんから電話があった」
「そう」
「君と子どもたちに会いたいって。俺は君たちが家にいないって言わなきゃならなかった」
「それで?」
「理由を聞かれた」
「何て言ったの?」
「……本当のこと」
私は少し驚いた。
デレクはリビングのほうを見た。
「君が腕を折ってから、俺がちゃんと手伝ってるのかって聞かれた」
「それで?」
「君は家で子どもたちを見て、俺は一日中働いてるって言った」
私は黙って待った。
彼は首の後ろをこすった。
「そしたら母さんに聞かれた」
「何て?」
「どうして君は、自分の家を出てまで、助けてくれる人を探さなきゃいけないんだって」
「あなたは何て答えたの?」
「何も」
「どうして?」
彼の顎が強張った。
「……自分でも、どう聞こえるか分かったから」
そのとき、マイルズが泣き始めた。
デレクは反射的に私を見た。
「ホープ?」
私は動かなかった。
「あなたが抱いて」
「何が欲しいのか分からない」
「私だって、まだ分からない」
「いつも君は分かるだろ」
「いつも私が考えてたからよ」
彼は少しためらってから、マイルズを抱き上げた。
すると、泣き声がさらに大きくなった。
「ほら」とデレクが不安そうに言った。「俺が余計に泣かせてる」
「まだ10秒しか抱いてないわ」
「どうすればいい?」
私の頭には、すぐに100個くらいの方法が浮かんだ。
おむつを確認する。
揺らす。
縦抱きにする。
ゆっくり歩く。
でも私は手を出さなかった。
「まず、ちゃんと観察して」
デレクは最初、早足で歩き始めた。
マイルズはもっと泣いた。
デレクが歩く速度を落とした。
1分後。
泣き声が少しずつ弱くなった。
「……泣き止んできた」
彼が小さく呟いた。
「そうね」
デレクは息子を見下ろした。
「君は、これを簡単そうにやってた」
「あなた、私が一日中何もしてないって言ったよね」
「……うん」
「どうして?」
彼は唾を飲み込んだ。
「君が帰ってきたら、いつも子どもたちが何を必要としてるか分かってた。でも俺には分からなかった」
「覚えればよかったでしょう」
「分かってる」
「じゃあ、どうして覚えなかったの?」
彼の声が小さくなった。
「自分が役に立たないように感じたから」
「……」
「君に何か頼まれるたびに、自分が何も知らないって思い知らされた」
「だから、私が頼むのをやめてほしかった?」
彼は頷いた。
マイルズが小さな拳でデレクのシャツを握った。
私は言った。
「怖かったからって、私にあんなことを言っていい理由にはならない」
「分かってる」
何か月もの間、私はデレクが息子の一人を抱いている姿を見たいと思っていた。
そして今、彼はようやくそうしていた。
でも私は分かっていた。
一度の瞬間だけでは十分じゃない。
数日後、デレクから写真が送られてきた。
ピカピカになったキッチンの写真だった。
「全部掃除した。帰ってこない?」
私はそのメッセージをしばらく見つめた。
そして返信した。
「マイルズは、いつも最後のミルクを何時ごろ飲む?」
入力中の表示が出た。
消えた。
また出た。
そして、返事は来なかった。
その夜、デレクがやってきた。
「俺に何をしてほしいんだ、ホープ?」
「指示を待つのをやめてほしい」
「努力してる」
「じゃあ、私をあなたの上司みたいにしないで努力して」
彼は私の向かいに座った。
「家中を掃除した。君なら喜ぶと思った」
「マイルズの泣き方がルークと違うって分かるようになったら、もっと嬉しい」
彼はうつむいた。
「じゃあ、教えてよ」
私は一瞬、そうしようかと思った。
昔の私は、もうノートを取り出していただろう。
でも私は首を横に振った。
「教えない」
彼が顔を上げた。
「自分で見て。自分で覚えて。息子たちと十分な時間を過ごして、自分で分かるようになって」
彼の表情が強張った。
「もし失敗したら?」
「失敗するわ」
彼は驚いたように私を見た。

「私だって失敗する」
私はギプスを見た。
「この数週間、私は自分の赤ちゃんを安全に抱くことすらできない自分を、母親失格みたいに感じてた」
「ホープ……」
「最後まで聞いて」
私は続けた。
「ギプスが外れたら、私はもう一度、自分らしく生きるチャンスをもらえる。あなたにも、やり直すチャンスはある」
「俺たちのために?」
「あなたが今までより良い人間になるために」
私は彼の目を見つめた。
「でも、私があなたをそこまで連れていくつもりはない」
その後、数週間。
デレクは、頼まなくても動くようになった。
週に2回は定時で帰ってきた。
双子の病院の予定を、自分のカレンダーにも入れた。
ルークは胸に抱き寄せると早く落ち着くことを覚えた。
マイルズは眠る前に少し揺らしてあげると落ち着くことも分かった。
もちろん、まだ失敗はした。
でも私は、何かあるたびにすぐ手を出して彼を助けることをやめた。
彼自身が覚えなければならなかった。
そして私も、「自分のほうが早くできるから」という理由だけで、すべてを抱え込むことをやめなければならなかった。
3週間後。
腕がある程度回復したので、私は少しずつ荷物を家に戻すことにした。
全部ではない。
それにデレクはすぐ気づいた。
「母さんの家に服を置いてるの?」
「そう」
「まだ俺を信用してないから?」
私は少し考えた。
「自分自身を信じることを覚えてるところなの」
私は続けた。
「また全部が崩れたとしても、今度は自分の身体が壊れるまで何もしない、なんてことはしない」
その夜。
子ども部屋からマイルズの泣き声が聞こえた。
私は反射的に立ち上がろうとした。
でも――
デレクはもう立ち上がっていた。
「俺が行く」
彼は言った。
「これは眠いときの泣き方だ」
そう言って廊下の奥へ消えていった。
1分後。
マイルズの泣き声が止まった。
私は隣に置いてあった紅茶を手に取った。
まだ温かかった。
私はずっと思っていた。
良い母親とは、すべてを一人で背負える人間のことだと。
でも、腕を折って初めて分かった。
良い母親は、自分がどれだけ耐えられるかを証明する必要なんてない。
そして父親は、何度も何度も「父親らしくして」と頼まれなければならない存在でもない。
