34歳の誕生日を迎えた翌日。
夫のフィンが仕事から帰ってきたのは、午後5時42分だった。
その時間を覚えているのには理由がある。
私はリビングの床に座り、生後8か月になる双子のそばにいた。玄関から鍵を回す音が聞こえたのだ。
いつものように、フィンが声をかけてきた。
「クレア? ただいま」
私は答えなかった。
隠れていたわけじゃない。
ただ、待っていた。
フィンは玄関を通り、ドアのそばに置いた小さな器に鍵を入れ、ネクタイを緩めながらリビングへ向かった。
そして――
立ち止まった。
肩にかけていたノートパソコンのバッグが、ゆっくりと滑り落ちる。
数秒間、フィンは私が彼のために用意したものを、ただ見つめていた。
そして、ゆっくりと私を見る。
「……クレア」
声が違っていた。
まだ怒ってはいない。
どちらかというと、驚き。
私はノアの隣に座っていた。
ノアはプラスチックのキリンのおもちゃを必死に噛んでいる。
双子の妹、リリーは私の胸にもたれて眠っていた。
私はフィンから目をそらさず、リリーにかけた毛布をそっと直した。
フィンが、私の用意したものを指差した。
「……これは何だ?」
「プレゼントよ」
眉間にしわが寄る。
「俺に?」
「もちろん」
フィンはもう一度、それを見た。
そして私は、彼の表情が変わっていくのを見ていた。
困惑。
気まずさ。
そして――怒り。

「本当にこれをやったのか?」
私は思わず笑いそうになった。
24時間も経っていない。
昨日の夜、私は彼にまったく同じことを聞きたかった。
でも、私はこう言った。
「あなたのやる気につながるかなって思って」
フィンの顔から表情が消えた。
その言葉は、狙った場所に正確に刺さった。
「やる気」
それは、昨夜フィン自身が使った言葉だった。
彼はもう一度プレゼントを見る。
それから私を見る。
「……冗談だろ?」
「笑ってないでしょう?」
「クレア、これは全然違う」
「そう?」
「ああ」
「どこが?」
フィンの顎が強くこわばった。
今度は、驚きが怒りに変わっていくのが分かった。
8か月前なら、フィンが私に怒っているだけで、私はパニックになっていた。
すぐに声を柔らかくしていた。
私が大げさなのかもしれない、と考えていた。
彼が問題だと認める前から、私が何とかして解決しようとしていた。
でも――
昨夜、私の中で何かが変わった。
何か月も飲み込んできたものが、ついに限界に達したのだ。
フィンが一歩近づいてくる。
「それ、片付けろ」
「嫌」
「クレア」
「嫌よ」
彼は私を見つめた。
私も見返した。
そして何か月ぶりかで、私は自分のお腹のことを考えていなかった。
体重のこと。
ジーンズのこと。
フィンが何度も見せてきた昔の写真のこと。
もっと大きなことを考えていた。
どうして――
かつて世界で一番安心できる存在だった男が、
いつの間にか、私が鏡から逃げたくなるような存在になってしまったのだろう。
そしてなぜ私は、こんなに傷ついていることを認めるのに、一つの誕生日プレゼントが必要だったのだろう。
フィンがリビングで、まるで私に平手打ちでもされたかのような顔をして立っていた理由を理解するには、昨夜何があったのかを知る必要がある。
いや。
もっと前に戻らなければならない。
双子が生まれる前。
私がまだ、フィンだけは絶対に、私自身の体を恥じさせるような人にはならないと思っていた頃まで。
フィンと出会ったのは、私が26歳のときだった。
オースティンで開かれた友人の裏庭バーベキュー。
彼は私の靴に甘いアイスティーをこぼした。
ロマンチックでもなければ、映画のようでもない。
でも、忘れられない出会いだった。
フィンはあまりにも大げさに謝るものだから、私は笑ってしまった。
「12ドルのサンダルよ」
「俺が壊した」
「プラスチックよ」
「弁償する」
「13ドルのサンダルでも買ってくれるの?」
それで彼も笑った。
その夜、他の人たちが家の中に戻ったあとも、私たちはずっと裏階段に座って話していた。
フィンは何事も計画するタイプだった。
歯医者の予約は半年先まで入れる。
私は一度、空港に着いてからパスポートの期限が切れていることに気づいたことがある。
フィンは旅行の予定を表にまとめる。
私は出発の20分前に荷造りする。
なぜか、私たちはうまく釣り合っていた。
そして何より、フィンは優しい人だった。
結婚して3年目、父が手術を受けることになったとき、フィンは私と一緒に4時間運転して病院まで来てくれた。
そして病院の椅子で2晩眠った。
私が転職して、一時的に収入が減ったときも、一度も私を責めなかった。
子どもを授かるまで苦労したときも、私を責めなかった。
そして、2年間待ち続け、願い続けた末――
私は妊娠した。
最初の大きな超音波検査の日。
技師が微笑んだ。
「二人分の心音、聞いてみますか?」
フィンは彼女を見つめた。
「……二人?」
画面が切り替わった。
そこには、小さな命が二つ。
私より先に、フィンが泣いた。
「双子なの?」
まるで世界全部を突然手渡されたような顔で、彼は私を見た。
「双子だよ」
妊娠は写真の中では美しかった。
でも、現実はそれほど美しいものではなかった。
妊娠後期になると、足首はむくみ、背中はずっと痛かった。
ベッドで寝返りを打つだけでも、一大イベントだった。
フィンは私の足をマッサージしてくれた。
二つのベビーベッドも組み立ててくれた。
毎月、お腹の写真も撮ってくれた。
「君は本当にすごいよ」
彼はいつもそう言った。
私は彼の言葉を信じていた。
そして出産の日が来た。
何時間もの陣痛のあと、状況が急変し、私は緊急帝王切開を受けることになった。
覚えているのは、まぶしい照明。
慌ただしく動く人々の声。
私の手を握るフィン。
そして――泣き声。
一人目。
そして二人目。
フィンがリリーを私の顔のそばに連れてきたとき、彼の頬には涙が流れていた。
「君が頑張ったんだ」
彼は小さく囁いた。
私は娘の額にキスをした。
「私たちが頑張ったのよ」
その瞬間、私は思った。
親になることで、私たちは永遠につながったのだと。
でも私はまだ知らなかった。
子どもは夫婦の強い部分だけを見せてくれるわけではない。
弱い部分も、すべて露わにするのだ。
最初の頃、フィンは素晴らしい父親だった。

おむつを替えた。
哺乳瓶を消毒した。
ノアが眠らない夜には、午前2時のキッチンを歩き回りながら、
「ママには休んでもらわないとな」
と小さく話しかけていた。
でも、フィンの育児休暇は3週間だけだった。
そして仕事に戻った。
少しずつ、彼の以前の生活が戻っていった。
私の生活は――
戻らなかった。
赤ちゃんが寝ている間に、母親も寝なさい。
新生児を持つ母親には、よくそう言われる。
でも、そのアドバイスを考えた人は、きっと双子を育てたことがない。
リリーとノアは、まるで申し合わせているかのように、12分以上同時に眠ることがなかった。
リリーがようやく目を閉じる。
するとノアが泣く。
ノアがミルクを飲み終える。
するとリリーのおむつを替えなければならない。
一人が吐き戻す。
もう一人は、大人には理解できない理由で突然「人生最悪」と言わんばかりに泣き始める。
二人を愛していた。
こんなにも誰かを愛せるなんて、自分でも知らなかった。
でも、疲れ切っていた。
午後4時になって初めて、その日まだ昼食を食べていないことに気づく日もあった。
シャワーを浴びることさえ贅沢だった。
温かいままコーヒーを一杯飲み終えられた日は、何かを勝ち取ったような気分になった。
私の体も変わった。
当然だ。
二人の人間を体の中で育てたのだから。
お腹は柔らかくなった。
腰回りは広くなった。
妊娠線も残った。
帝王切開の傷は、まだ痛む場所があった。
妊娠前に履いていたジーンズは、クローゼットの一番上の棚にしまったままだった。
最初の数か月は、それほど気にしていなかった。
でも――
フィンが、私の代わりに気にし始めた。
最初の一言は、何気ないものに聞こえた。
彼の両親の家へ夕食に行く準備をしていたとき、私はゆったりしたネイビーのワンピースを着た。
フィンが鏡越しに私を見た。
「似合ってるよ」
「ありがとう」
すると彼は言った。
「前に着てた緑のワンピース、覚えてる?」
私は動きを止めた。
その緑のワンピースは、今の私より2サイズ小さかった。
「覚えてる」
「あれ着てたとき、すごく綺麗だったよな」
私は鏡越しに彼を見た。
「今は入らないから」
「ああ……」
少し間を置いて、彼は笑った。
「ただ言ってみただけ」
それが、フィンのお気に入りの言葉になった。
「ただ言ってるだけ」
数日後、彼は昔の旅行写真を見ていた。
「これ見て」
カボで撮った写真だった。
私はショートパンツとタンクトップを着ていた。
「この頃は本当に細かったよな」
私はその言葉を聞いた瞬間、嫌になった。
ある夜、リリーにミルクを飲ませていると、フィンがキッチンカウンターにもたれながら言った。
「ジムに戻ること、考えたことある?」
私は彼を見た。
「いつ行くの?」
「託児所があるところもあるだろ」
「赤ちゃんでも?」
「たぶん」
「知ってるの?」
「いや。でも調べればいい」
私はリリーを肩に抱き上げた。
「一晩4時間しか寝てないのよ」
「分かってる。助けたいだけだよ」
助ける。
どうやらフィンは、私の体を家庭内プロジェクトにしてしまったらしい。
食事プラン。
トレーニングアプリ。
「ものすごく早く元の体型に戻った同僚の奥さん」。
その言葉を聞いた瞬間、哺乳瓶を洗うブラシを投げつけそうになった。
でも私はこう聞いた。
「その人の赤ちゃん、何か月?」
「たぶん6か月」
「どれくらい寝てるの?」
フィンは肩をすくめた。
「知らない」
「双子?」
「いや」
「帝王切開?」
「知らない」
「じゃあ、どうしてその人の体と私を比べるの?」
フィンはため息をついた。
「クレア、君はいつも俺が悪い意味で言ってると思うよな」
私は答えなかった。
なぜなら、その頃には私自身も同じことを考え始めていたから。
私が敏感すぎるのかもしれない。
もっと頑張るべきなのかもしれない。
8か月も経ったんだから、もう十分なのかもしれない。
本当に私は、自分を甘やかしてしまったのかもしれない。
それが一番危険だった。
フィンの言葉は私を奮い立たせたわけではない。
少しずつ、私自身の声を奪っていった。
私はフィンの前で着替えなくなった。
写真を避けるようになった。
彼が腰に触れると、柔らかくなったことに気づかれたんじゃないかと思った。
褒められても、本心なのか分からなくなった。
そしてある土曜日の午後。
廊下に飾られた結婚式の写真を見ながら、フィンが言った。
「昔の自分のほうがよかったんじゃない?」
私は彼を見つめた。
「……何の前の?」
彼はすぐに、言ってはいけないことを言ったと気づいた。
「分かってるだろ」
「分からない。言って」
「妊娠する前だよ」
私はノアを抱いたまま、視線を落とした。
そのとき初めて思った。
フィンは私の体について、まるで妊娠によって自分の所有物が壊れたかのように話している。
それでも私は何も言わなかった。
また、飲み込んだ。
そして――
誕生日が来た。
その日、フィンはついに遠回しな言い方をやめた。
誕生日の朝。
仕事へ出かける前、フィンが私にキスをした。
「今日は君のお母さんが双子を見てくれるよ」
「どれくらい?」
「3時間」
私は胸に手を当てた。
「3時間、誰にも邪魔されずに?」
「興奮しすぎるなよ」
私は笑った。
本当に楽しみだった。
高価なプレゼントなんて欲しくなかった。
夕食がしたかった。
吐き戻したミルクのついていない服を着たかった。
そして夫と向かい合って座りたかった。
ママとパパになる前の、クレアとフィンだった頃を思い出したかった。
フィンは大きな長方形の箱を抱えて帰ってきた。
銀色の包装紙に包まれている。
私は見つめた。
「何を買ったの?」
フィンは笑った。
「開けてみて」
ほんの一瞬。
本当に馬鹿げたことだけど、家族の肖像画かと思った。
もしかしたら、病院で二人が双子を抱いていた写真を大きくしたものかもしれない。
何か心のこもったものかもしれない。
私は包装紙を破いた。
そして笑顔が消えた。
中に入っていたのは、大きな額縁だった。
そこに描かれていたのは、私に似た女性。
でも――私ではなかった。
顔は確かに私。
ただし、若く、過剰に滑らかに加工されている。
そして、その下の体は完全な幻想だった。
細すぎるウエスト。
平らなお腹。
浮き出た腹筋。
長く引き締まった脚。
不自然なほど強調された曲線。
私が持っているどの服よりも小さそうな、体にぴったりした白いドレス。
私はそれを見つめた。
「……これ、何?」
フィンは得意げに笑った。
「すごいだろ?」
「どうして私がこんな姿なの?」
「AIだよ」
「それは分かる。どうしてこんな姿にしたの?」
彼は額縁に触れた。
「君の目標を作ってみた」
私はゆっくり彼を見た。
「私の目標?」
「体を鍛える目標」
「私、そんな目標あった?」
フィンの笑顔が崩れた。
「クレア」
「本当に聞いてるの。いつ私がこれを目標だって言った?」
彼は気まずそうに笑った。
「君、前みたいな自分に戻りたいって言ってただろ」
私は言った。
また眠れるようになりたい。
誰かがドアの外で泣いていなくてもトイレに行けるようになりたい。
本を読みたい。
体力を取り戻したい。
でも――
腹筋を6つに割りたいなんて、一度も言っていない。
フィンは写真を指差した。
「モチベーションになると思って」
その言葉。
私は額縁の中の偽物の女性を見つめた。
そしてフィンは、その夜、何度も頭の中で繰り返すことになる言葉を口にした。
「またこういう姿になってくれるのを待ってるよ」
また。
まるで私が、こんな姿だったことがあるかのように。
まるで目の前にいる本当の私が、未完成の失敗作であるかのように。
私は唾を飲み込んだ。
「これを誕生日プレゼントに?」
ようやくフィンも、何かがおかしいことに気づいた。
「クレア、悪く受け取るなよ」
私は彼を見た。
「悪く受け取るな?」
「励ますつもりだったんだ」
「私の誕生日プレゼントが、あなたが私にこうなってほしいと思っている姿?」
「そんなこと言ってない」
「『またこうなってくれるのを待ってる』って言ったじゃない」
「君ならできると思ってるから」
その瞬間、私の中の何かが静かになった。
穏やかになったわけじゃない。
ただ、静かになった。

傷が深すぎると、人はすぐに怒ることさえできなくなる。
私は肖像画を壁に立てかけた。
「夕食、行きたくない」
フィンがため息をついた。
「本気?」
「うん」
「母さんがもう子どもたちを連れて行ったんだぞ」
「じゃあ、自由な夜を楽しめば?」
「クレア」
私は二階へ上がった。
その夜、フィンは私の隣で眠った。
私は眠れなかった。
最初は声を殺して泣いた。
次に、怒りが湧いた。
そして午前3時を過ぎた頃。
隣で穏やかに眠っているフィンを見つめながら、私は気づいた。
8か月もの間、フィンは私が「昔の私」に戻るのを待っていた。
でも――
私もずっと待っていた。
赤ちゃんたちが生まれたとき、頼まなくても起きてくれた男を。
妊娠中、むくんだ私の足をマッサージしてくれた男を。
私を「未完成」ではなく、「素晴らしい」と見てくれていた男を。
日の出を迎える頃、私は彼に何を贈るのか、はっきり決めていた。
