義母が初めて生まれたばかりの娘を見た瞬間、顔面蒼白になり、「この子を養子に出して」と言った――その理由を知った私は、気を失いそうになった。

私はずっと、自分は幸運な人間だと思っていた。

義母のキャロルは、まるで私にとってもう一人の母親のような存在だったからだ。

妊娠中もずっと私を支えてくれて、生まれてくる孫娘に会う日を心待ちにしていた。

ところがある日、キャロルが病院の私の部屋に入ってきて、生まれたばかりの娘の腕を見た瞬間、顔から血の気が引いた。

私は昔から、義母のキャロルが大好きだった。

世間では「最悪な義母」の話を冗談にすることもあるけれど、キャロルは私に対して決してそんな人ではなかった。

最初から私を家族の一員として受け入れてくれたし、私を支配しようとすることもなかった。

女の子だと分かったときには、古いスウェットパンツ姿で我が家にやってきて、私たちと一緒に子ども部屋をピンクに塗ってくれた。

妊娠したと彼女に電話で伝えたときには、あまりにも激しく泣くので、私は「大丈夫?」と聞かなければならないほどだった。

それからというもの、キャロルは完全に張り切ってしまった。

妊娠最後の2か月には、手作りの料理を抱えて何度もやって来た。

あるときなど、私たちのキッチンを丸ごと掃除しながら、鋳鉄製のフライパンを食洗機に入れたダレンを怒鳴りつけていた。

「自分から彼と結婚したんでしょう?」

「若かったのよ」

「二人とも聞こえてるからね!」

別の部屋からダレンの声が飛んできた。

私は約20時間も陣痛に耐え、最後には疲労で体が震えていた。

そして、ついに娘の泣き声が聞こえた。

面会はすぐには許可されなかったので、最初の夜は、看護師たちが出入りする中で、私はなんとか眠ろうとしていた。

娘が私の胸の上に置かれた瞬間、私は泣き出した。

ダレンが私の額にキスをした。

「完璧だよ」

私たちは娘をリリーと名付けた。

翌朝、ダレンが花束を持ってやってきた。

何も買わなくていいと言っておいたのに。

その1時間後、キャロルが二つのバッグと、リリーと同じくらい大きな、ばかばかしいほど大きなウサギのぬいぐるみを抱えて病室に入ってきた。

彼女はリリーのほうを向いた。

満面の笑みを浮かべていた。

「まあ……かわいい子」

ゆっくりとベビーベッドへ近づいていった。

そして、突然立ち止まった。

私はすぐに気づいた。

キャロルの笑顔が消えていたからだ。

彼女はリリーの上腕を見つめていた。

色が薄いとか、見えにくいとか、そんなものではなかった。

完全に固まっていた。

彼女はさらに顔を近づけた。

「キャロル?」

返事はなかった。

そこには、小さな楕円形の跡があった。

周囲の肌より少し濃い色をした跡だった。

キャロルはベビーベッドの縁に手を置いた。

「誰か、このことについて何か言ってた?」

「何のこと?」

ダレンが近づいてきた。

キャロルはリリーの腕を指差した。

「あの跡よ」

「いや、何も」

ダレンが眉をひそめた。

「それがどうしたの?」

キャロルはダレンを見た。

「これから言うことは、ひどく聞こえると思う」

それから私を見た。

顔から血の気が完全に引いていた。

「キャロル、大丈夫?」

彼女は一歩後ずさった。

そして、もう一歩。

「この子を……あなたたちが連れて帰ってはいけない」

「……何?」

彼女は私をまっすぐ見た。

「この子を連れて帰っちゃいけない」

「母さん、何を言ってるの?」

「ダメなの。絶対にダメ」

「キャロル、何を言ってるの? この子はあなたの孫よ」

ダレンが彼女とベビーベッドの間に立った。

「分かってる」

「じゃあ、どうしてそんなことを言うんだ?」

「母さん」

キャロルは突然、リリーの腕を指差した。

「腕を見て!」

「出生時からあるあざが、いったい何だっていうの?」

彼女の声が震え、叫び声になった。

「誰かがあの跡を調べるまで、この子を家に連れて帰らないで。お願い。私を信じて」

私は何が起きているのか分からなかった。

キャロルはダレンを見た。

そして口元を手で覆った。

「だって……私は以前、同じものを見たことがあるの」

「もっと何年も前に話しておくべきだった」

ダレンの表情が変わった。

「どこで?」

「ダレン……」

「何を話すって?」

キャロルは私を一度見た。

まるで謝っているかのような目だった。

そして言った。

「ダレン。私はあなたを産んでいないの」

病室が静まり返った。

「あなたは……別の女性から生まれたの」

ダレンはキャロルを見つめた。

「……何?」

「母さん、やめて」

「私は混乱してるんじゃない」

「ダレン」

「あなたは動揺してるのよ。座って」

キャロルが彼の手首をつかんだ。

「あなたは赤ん坊のときに私たちのところへ来たの」

ダレンは腕を振りほどいた。

「どれくらい隠すつもりだったんだ?」

「違うの」

「つまり、俺は養子だったってこと?」

「最初は内々の取り決めだったの。その後、お父さんと私は正式に養子縁組をした」

ダレンは彼女から離れた。

「いつになったら俺に話すつもりだった?」

「いつかは話すつもりだった」

「いつ?」

「あなたが十分に大人になったら」

「俺は34歳だ」

「分かってる」

「じゃあ、いつなら俺は十分に大人だったんだ?」

キャロルは答えられなかった。

私は震える声で尋ねた。

「リリーの腕の跡と、今の話に何の関係があるの?」

キャロルは顔を拭った。

「ダレンを産んだ女性にも……同じ跡があったの」

ダレンが彼女を見つめた。

「その女性は誰?」

「名前はルース」

「ルースって誰?」

「あなたのお父さんと私が、共通の友人を通じて知り合った女性よ。別の州に住んでいた」

「生きてるの?」

「分からない」

「分からない?」

「30年以上、彼女とは話していないの」

ダレンはリリーを指差した。

「じゃあ、どうしてその跡が何か恐ろしいものみたいに振る舞うんだ?」

キャロルの体が完全に固まった。

「ルースの家族で、その跡があったのは彼女だけじゃなかったから」

私の胃がきゅっと縮んだ。

「ルースの家族には……ある遺伝性の病気があったの」

「どういう意味?」

キャロルは椅子に座った。

「正確な医学名は覚えていない。でも、ルースの親族の中には、あのような跡があっても健康な人がいた。一方で、別の人たちは、その跡と一緒に遺伝性の血管の病気を抱えていたの」

ダレンは彼女を見つめた。

「俺の実の家族に、そんな病気の可能性があるって知ってたのか?」

「それなのに、俺には一度も話さなかったのか?」

キャロルはうなずいた。

ダレンの声が低くなった。

「それなのに、俺には話さなかった?」

「あなたにはあの跡がなかったから……関係ないと思い込んでいたの」

ダレンは、まるで目の前にいる女性が誰なのか分からなくなったような顔をした。

「思い込んでた?」

「つまり……俺の娘が、深刻な病気を遺伝している可能性があるってこと?」

「怖かったの」

「何が?」

「あなたを失うのが」

病室が突然、傾いたように感じた。

ダレンが私の肩をつかんだ。

「クレア?」

看護師が慌てて入ってきた。

ベッドの頭を少し下げ、私の状態を確認してから、医師を呼んだ。

数分後、医師がやってきてリリーを診察した。

医師はキャロルに、彼女が覚えていることを尋ねた。

「出生時の跡だけで、娘さんに何か問題があるとは判断できません」

医師は落ち着いた声で言った。

「リリーちゃんは安定しています。今のところ緊急性を示す所見もありません。ただ、家族にそのような病歴がある可能性があるなら、記録して、必要な検査や経過観察を行いましょう」

ダレンはキャロルを見た。

「俺には、いつか必要になるかもしれない実の家族の病歴があるって知ってたんだな?」

「ええ」

「それなのに、俺は知る必要がないと決めた」

キャロルは顔を覆った。

「ごめんなさい」

「まだ……だ」

ダレンの声は静かだった。

「まだ許せない」

そして彼は尋ねた。

「それが本当だって証明できるものは?」

キャロルが手を下ろした。

「写真がある」

「どんな写真?」

「あなたが生まれたあと、ルースがあなたを抱いている写真よ。袖をまくっていて、腕の跡が見えている」

ダレンは苦い笑いを漏らした。

「都合がいい話だな」

「本物よ」

「じゃあ、見せて」

「まだ持ってるのか?」

キャロルはうなずいた。

ダレンは顔を背けた。

「俺の実の母親の写真を34年間も持っていたのに、俺に見る権利があるとは思わなかったのか?」

「怖かったの」

「俺を失うのが?」

キャロルはうなずいた。

「取りに行ってくれ」

キャロルが病室を出ていった。

私はダレンのそばに座った。

「私……頭がおかしくなりそう」

彼はしばらく黙っていた。

そして言った。

「彼女を信じる?」

「分からない」

「俺も分からない」

しばらくして、キャロルが古い封筒を持って戻ってきた。

テーブルの上に置いた。

ダレンが封筒を開けた。

中には、色あせた一枚の写真が入っていた。

小さな家の前に立つ若い女性。

腕には生まれたばかりの赤ん坊。

髪は黒く、ひどく疲れているように見えた。

そして――

彼女の上腕には、小さな楕円形の跡があった。

同じ場所。

同じ形。

ダレンは長い間、その写真を見つめていた。

そして椅子に座った。

キャロルが小さな声で言った。

「あなたに話すつもりで来たわけじゃなかった。リリーの腕を見た瞬間、あの頃のことが全部よみがえってきて……怖くなったの」

ダレンは彼女を見た。

「俺たちに、娘を連れて帰るなと言った」

キャロルの顔が歪んだ。

「まるで、リリーに何か問題があるみたいに聞こえた」

「分かってる」

「本当は何を言いたかったんだ?」

「私はあの跡を知っていた。あなたが知っておくべき家族の病歴があるかもしれないって伝えたかった。そして、その理由を説明するには、私がずっと隠していたことを全部話さなければならなかった」

ダレンはもう一度写真を見た。

「私はあなたを守っているんだって、ずっと自分に言い聞かせていたの」

「母さんには、俺に話す時間が何十年もあった」

「分かってる」

「違う。そんなふうに『分かってる』って言い続けても、何も元には戻らない」

「ええ」

キャロルは自分の手を見つめた。

「あなたを守っているつもりだった。でも本当は、あなたが私をどう思うかを知るのが怖くて、自分自身を守っていただけだった」

それに対して、優しい言葉をかけることはできなかった。

そんなことをすれば、彼女の告白の重さを和らげてしまう気がしたからだ。

ダレンは何も言わなかった。

私も何も言えなかった。

2日後、リリーと私は退院した。

リリーは、相変わらず元気な赤ちゃんだった。

でも今では、医師たちが調べるべき家族歴がある。

キャロルが告白しなければ、誰もその可能性を知ることはなかった。

キャロルは、昔住んでいた町と以前の住所、そしてルースの両親の名前を覚えていた。

ダレンは、それを放っておけなかった。

私も同じだった。

私たちはキャロルの屋根裏部屋にある箱を一つずつ調べた。

そしてダレンが、昔のクリスマスカードを見つけた。

そこには差出人の住所が残っていた。

年配の親戚の一人がルースの家族の姓を覚えていて、私たちはそこから彼女を探すための情報を手に入れた。

ルースは生きていた。

ダレンは電話番号を3日間、じっと見つめ続けた。

彼女は車で約4時間の場所に住んでいた。

4日目の夜、ダレンが言った。

「やっぱり……会わないほうがいいのかもしれない」

「どうして?」

「俺は怒ってるから」

「ルースに?」

「会ったことで、全部がもっと悪くなったら?」

「そんなこともあるかもしれない」

「助かる答えだな」

私は彼を見た。

「でも、キャロルへの怒りだけで決めないで」

翌朝、ダレンは電話をかけた。

1週間後、私たちはルースに会いに車で向かった。

ダレンはキャロルにも一緒に来るよう頼んだ。

ルースが玄関のドアを開けた。

ダレンを見るなり、彼女は泣き出した。

「何があったのか聞くなら、二人とも同じ部屋にいてほしい」

ダレンは言った。

「もう、別々の話を聞くのは嫌なんだ」

その再会は、映画のようなものではなかった。

誰も抱き合って走り寄ったりはしなかった。

ルースはようやく口を開いた。

「あなた……私の父親にそっくりね」

ダレンは息を飲んだ。

「何て言えばいいのか分からない」

「何も言わなくていい」

私たちは彼女のキッチンテーブルを囲んで座った。

ルースは箱を用意していた。

中には写真、家族の医療記録、古い書類、そして手紙が入っていた。

ダレンが一通の手紙を手に取った。

「これ……俺宛て?」

「そう」

「俺に手紙を書いたの?」

「何年かの間、誕生日には毎年書いたわ」

「じゃあ、どうして送らなかった?」

ルースは答えた。

「あなたの両親はキャロルとお父さんだった。それが私たちの取り決めだったから」

キャロルはうつむいた。

ルースは続けた。

「あなたのことは、ずっと考えていた」

「でも、何年も経ってから突然現れて、あなたの人生を壊したくなかったの。私が何かを必要としているからという理由で」

ダレンはキャロルを見た。

「それを決めるのは俺自身でもよかったはずだ」

キャロルはうなずいた。

「ええ」

「あなたが俺を愛していたことは分かってる」

キャロルの声が震えた。

「そうね」

ダレンは椅子にもたれた。

「愛してくれていたことは分かってる。でも、俺を愛していたからって、俺が自分自身について何を知ることを許されるかを、永遠に決める権利があったわけじゃない」

キャロルはまた泣き始めた。

「分かってる」

それからダレンは医療記録を見た。

今度は、彼女を慰めなかった。

そして、それが大切なことだったのだと思う。

「具体的に、家族にはどんな病気があるの?」

ルースは説明した。

家族の何人かが、遺伝性の血管疾患の可能性があるとして経過観察を受けていた。

あの楕円形の跡は、病気を持つ親族に現れることがあった。

しかし、必ず現れるわけではない。

そして、その跡だけでリリーが病気だという意味ではなかった。

そのとき、キャリーケースの中にいたリリーが小さな声を出した。

ルースがリリーを見る。

「もしあなたが私を探していると知っていたら、私はあなたに話していた」

ダレンはキャロルを見た。

キャロルは目を伏せた。

リリーがもう一度、小さな声を出した。

ルースが振り返った。

そして、リリーの腕にある跡を見た。

「この子……見せてもらってもいい?」

私はリリーを慎重に抱き上げた。

ルースが微笑んだ。

そして、その跡を見た。

彼女は一瞬、動きを止めた。

病院でキャロルの顔に浮かんでいた恐怖が、私の中によみがえった。

ルースは自分の袖をまくった。

そして、涙を浮かべながら笑った。

「やっぱり……」

彼女の腕にも、同じ楕円形の跡があった。

同じ場所。

同じ形。

ダレンの表情が初めて少しだけ和らいだ。

ルースの腕から、リリーの腕へ視線を移す。

「だから、母さんはあの跡を見て気づいたんだ」

「そうよ」

後日の検査で、私たちが心から望んでいた答えが出た。

リリーには、その疾患を示す兆候はなかった。

医師たちは家族歴をリリーの記録に残し、今後も必要に応じて経過を確認することになった。

でも、あの跡そのものは――

ただの跡だった。

ダレンが突然キャロルを許したわけではない。

本当に彼を傷つけていたのは、その跡ではなかった。

その周りに、キャロルが何十年にもわたって隠してきたすべてのことだった。

それから数か月が過ぎた。

ダレンとキャロルは話し続けた。

ただ、今でも話が口論で終わることはあった。

ルースも、突然「もう一人の母親」になったわけではない。

数か月後、私たちは家で小さな家族の集まりを開いた。

何もかもが簡単になったわけではなかった。

でも、少なくとも今は、これから何をするのかを決めるのはダレン自身だった。

キャロルが来た。

そして、ルースも来た。

二人とも、どこに立っていいのか分からないような空気が漂っていた。

そのとき、リリーが両手を伸ばした。

そして、二人の女性の指を一本ずつ、小さな手でつかんだ。

リリーが毛布の上でぐずり始める。

キャロルが片側から身をかがめた。

ルースも反対側から身をかがめた。

リリーは二人の指を一本ずつ握っていた。

みんなが笑った。

あの小さな跡は、リリーに何か問題があることを意味していたわけではなかった。

ダレンさえ笑っていた。

私はリリーの腕にある小さな楕円形の跡を見つめた。

あの跡が教えてくれたのは、娘に何か悪いことが起きているということではなかった。

私たちが知っておくべき家族の医学的な歴史。

そして、ダレンが何十年も前に知っているべきだった真実。

そして今度こそ――

これから何が起こるのかを決めるのは、ダレン自身だった。

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