娘を失ったことで一番つらいのは、娘のいない人生をどうやって生きていくかを学ぶことだと思っていた。
でも、違った。
本当に苦しかったのは、その後だった。
8歳の息子が、奇妙な行動を取り始めたのだ。
息子は、自分が持っている1ドル札も小銭も、すべて古いガラス瓶に入れるようになった。
十分なお金を貯めれば、妹を家に連れ戻せると信じていたのだ。
そしてある静かな午後、私は息子から、まったく覚悟していなかった言葉を聞くことになった。
その言葉をきっかけに、すべてが変わったあの夜、本当は何が起きていたのか――そして、夫が私に何を隠していたのかを疑い始めた。
「ママ、妹は死んでないよ」
8歳の息子は、あまりにも小さな声でそう言った。
私は息子の部屋に立ち、硬貨やしわくちゃのお札、さらには祖母のトレイシーが誕生日にくれた50ドルまで詰め込まれたガラス瓶を持っていた。
何日も前から、私はその瓶が少しずついっぱいになっていくのを見ていた。
その日の午後、私はウィリーがお昼のお小遣いまで入れているところを見つけた。
私は息子を見つめた。
「誰が死んでないの?」
ウィリーは、答えなんて決まっているでしょう、とでも言うような顔をした。
「クラウディア」
私の手が瓶を強く握りしめた。
娘は、2週間前に亡くなった。
何か月もの間、ウィリーは私のお腹に話しかけていた。
妹のために、ぬいぐるみのウサギまで選んでいた。
「妹には一緒に寝る誰かが必要だから」
それがウィリーの言葉だった。

妹に会える日を、指折り数えていた。
そして、出産で問題が起きた。
あの夜の記憶は、断片的にしか残っていない。
ロバートが私の手を握っていたこと。
トレイシーがウィリーを連れて行ったこと。
血。
まぶしい病院の照明。
そして、私の顔にマスクが降ろされたこと。
数時間後に目を覚ますと、ロバートが私の隣に座り、両手で私の手を包んでいた。
彼の目は泣き腫れていた。
「クラウディアは?」
私がそう口にした瞬間、彼の口元が歪んだ。
「ごめん、メル」
私は叫び続けた。
傷口の痛みに耐えられなくなり、誰かに呼吸を助けてもらうほどだった。
クラウディアは助からなかった。
なぜか、私は生き残った。
その後の2週間、私はほとんど寝室から出なかった。
体は、私が確かに娘を産んだことを絶えず思い出させた。
そして、何も抱いていない腕が、そこに抱くはずの赤ちゃんがいないことを思い知らせた。
ロバートは、すでにきれいな場所まで掃除していた。
トレイシーは洗濯をし、食事を運び、午後になるとウィリーと一緒に過ごしてくれた。
息子は静かになった。
私は、それを悲しんでいるのだと思っていた。
でも今、息子の部屋に立ってみて、別の何かが起きていたのだと気づいた。
私はゆっくりと瓶を置いた。
「あなたが妹を恋しく思っているのは分かってるわ」
「違う」
ウィリーの顔が強張った。
「お金をいっぱい貯めれば、クラウディアを連れ戻せるんだ」
胸が締めつけられた。
「ウィリー、人間はそういうものじゃないの。お金を貯めたからって、亡くなった人を連れ戻すことはできないの。クラウディアは今、神様のところにいるのよ」
息子は私を見た。
「じゃあ、どうしてパパはお金を使ったの?」
一瞬、息ができなくなった。
「何のお金なの?」
ウィリーの視線が寝室のドアへ向いた。
ロバートは階下にいた。
キッチンのシンクから、何かをこする音が聞こえていた。
「パパが、あの女の人に渡したお金」
私はウィリーのベッドの端に腰を下ろした。
「最初から話して」
息子は短パンに手をこすりつけた。
「ママが病院で寝ていた最初の夜、ばあばのトレイシーがコーヒーを買いに行ったの。僕は椅子で寝ようとしてた。そこにいるように言われてたから」
「言われてた?」
息子は目を伏せた。
「パパを探しに行ったの」
「どこでパパを見つけたの?」
「エレベーターの近く」
「一人だった?」
ウィリーは首を横に振った。
「女の人と話してた」
「どんな人?」
「分からない。パパはその人に、分厚い封筒を渡した」
私の胃が締めつけられた。
「中に何が入っていたか、どうして分かるの?」
「その人が開けたの。お金が見えた」
「それからどうしたの?」
「その人は、その束を持って行った」
「何の束?」
ウィリーは唾を飲み込んだ。
「泣いてたほう」
私は息を止めた。
「赤ちゃんが泣いているのを聞いたの?」
息子はうなずいた。
「その女の人が赤ちゃんを抱き上げた。最初は顔が見えなかった。でも、パパが赤ちゃんの頭に触った」
私はベッドのマットレスを強く握った。
「ウィリー、その人を知ってたの?」
また、うなずいた。
「ママも知ってるよ」
「誰?」
「次の日、その人はママに会いに来た」
頭の中にいくつもの顔が浮かんだ。
でも、誰のことなのか分からなかった。
「ウィリー。その人は誰なの?」
息子の唇が震えた。
「ママも知ってるよ」
「誰なの?」
やがて、息子は小さな声で言った。
「クレアおばさん」
私は凍りついた。
クレアはロバートの妹だった。
彼女の娘、アイビーは、クラウディアが生まれる予定日のわずか数週間前に生まれていた。
みんな冗談半分に言っていた。
二人の女の子は一緒に成長する。
誕生日を祝い合い、同じ学校に通い、やがて離れられない従姉妹になる。
クラウディアが亡くなった翌日、クレアは私を訪ねてきた。
私の顔をほとんど見ないまま、彼女は囁いた。
「本当にごめんなさい、メル」
その時の私は、ただ一緒に悲しんでくれているのだと思っていた。
今は、そうではなかったのかもしれない。
私はウィリーを見た。
「ママ?」
「下に行ってて」
息子は戸惑った。
「パパに聞くの?」
「ええ」
ウィリーはうなずいた。
息子が部屋を出るのを待ってから、私は深く息を吸い、階下へ向かった。
ロバートはキッチンのシンクで、すでにピカピカの鍋をこすっていた。
「ロバート」
彼は振り向かなかった。
「どうした?」
「やめて」
それでも彼は、もう一秒だけこすり続けた。
「スポンジを置いて、私を見て」
彼の手が止まった。
そして振り返った。
私の顔を見た瞬間、表情が変わった。
「何があった?」
「どうしてあの夜、クレアが病院にいたの?」
ほんの一瞬、彼の顔に恐怖が浮かんだ。
だが、すぐに消えた。
「様子を見に来たんだ」
「夜に?」
「あの夜のことは全部ごちゃごちゃしてるんだ、メル。何時だったかも分からない」
「ウィリーは分かってる」
彼の指がスポンジを強く握った。
「ウィリーがクレアと何の関係がある?」
「エレベーターの近くにいるあなたを見たの」
ロバートが固まった。
「封筒も見た」
彼の表情がまた変わった。
「中には何が入ってたの?」
「大したものじゃない」
「私には大したことよ」
「メラニー……」
「何が入ってたの?」
彼は息を吐いた。
「お金だ」
「どうして?」
「家賃と食費。クレアは今、別居で大変なんだ」
私は彼を見つめた。
「ウィリーは、クレアが泣いている赤ちゃんを連れて出ていくところを見た」
ロバートの顔から表情が消えた。
「神様……」
「誰の赤ちゃん?」
彼は目を伏せた。
「クレアの」
「アイビー?」
「ああ」
「その夜、アイビーは病院にいたの?」
「ああ」
「どうして私に言わなかったの?」
「君は手術を終えたばかりだった。クレアがお金を必要としていることまで、君が抱える必要はないと思った」
答えが早すぎた。
私は彼を見つめた。
「ウィリーは、あなたがお姉さんにお金を渡して、クレアがクラウディアを連れて行ったと思ってる」
ロバートは椅子に崩れ落ちた。
「違う。違うんだ、メル……」
「あなたが赤ちゃんに触れるところも見た」
ロバートは口元を覆った。
肩が震えた。
「アイビーを抱いたの?」
彼は鋭く顔を上げた。
「誰に聞いた?」
「ウィリーが見たの」
ロバートは目を閉じた。
「……ああ」
「どうして?」
「分からない」
「考えて」
彼の口元が歪んだ。
「赤ちゃんを抱きたかったんだ」
彼は唾を飲み込んだ。
「少しだけ、悲しみを止めたかった」
ロバートもクラウディアを失った。
それは分かっていた。
でも、何かがおかしかった。
「どうしてクレアは、次の日、私の顔を見られなかったの?」
「お金のことで恥ずかしかったんじゃないか」
「彼女は毎晩、自分の娘を抱ける」
私の声が震えた。
「私は抱けない」
「メル、今日はやめよう」
何かが私の中で固まった。
この2週間、みんなが私の代わりに、私が何に耐えられるかを決めてきた。
彼がまた話し始める。
私は遮った。
「もう、あなたにそんなことを決めさせない」
彼の手がテーブルを強く握った。
それだけで十分だった。
私は階段へ向かった。
「どこへ行くんだ?」
「着替えるの」
体はまだ痛かった。
靴を履くためだけに、私は一度座らなければならなかった。
それから鍵をつかんだ。
私はクレアの家へ向かった。
クレアはアイビーを肩に抱いたまま、ドアを開けた。
その光景を見た瞬間、私は凍りついた。
アイビーが小さく不満そうな声を出し、クレアの首元へ顔を向けた。
生きている。
温かい。
呼吸している。
クラウディアには、もうないものだった。
クレアが一歩後ろへ下がった。
「来るなんて知らなかった」
「この子がアイビーだって知ってる」
彼女の表情が変わった。
「何?」
「ウィリーが病院であなたを見た」
クレアの目が大きく開いた。
「何ですって?」
「ロバートがお金を渡すところも見た」
「メラニー……」
「泣いている赤ちゃんを連れて出ていくところも見た」
クレアの肩が落ちた。
「2週間もの間、ウィリーはクラウディアを買い戻せると思って、お金を貯めてた」
「お金は私のためだった」
クレアが言った。
「何について安心してるの?」
「安心なんてしてない」
「してるわ」
クレアはアイビーを見下ろした。
赤ちゃんが胸元で動いた。

私の視線もそこへ向かった。
それに気づいたクレアの表情が変わった。
「メル、私は病院にあなたから何かを奪いに行ったんじゃない」
「アイビーがあなたの娘だってことは分かってる」
「今はね」
クレアは赤ちゃんの毛布を整えた。
「でも、あなたはまだ、ウィリーが何を見たのか理解しようとしてる」
私は唾を飲み込んだ。
「だったら教えて」
クレアはゆっくりとうなずいた。
「ロバートがお金をくれた。家賃と食費のために。誰にも言わないでって私が頼んだの。恥ずかしかったから」
「それで、アイビーは?」
「預ける人がいなかったの。母はウィリーと一緒にいたから、連れて行った」
「そしてロバートが抱いた」
クレアの目に涙が浮かんだ。
「彼があんな姿になるのを、初めて見た」
彼女は一度言葉を止めた。
「それからアイビーが泣き始めて、彼が『抱いてもいいか』って聞いたの」
喉が締めつけられた。
「あなたは抱かせたの?」
「もちろん」
クレアは娘を見下ろした。
「彼の腕にアイビーを置いた瞬間、彼は……崩れた」
クレアは一瞬、アイビーの髪に頬を寄せた。
「ずっとクラウディアの名前を呼んでた」
「クラウディアとアイビーは、一緒に大きくなるはずだったって」
私は赤ちゃんを見つめた。
二人の従姉妹。
二つの誕生日ケーキ。
玄関に並ぶ二つのランドセル。
どちらの女の子もまだ頭を持ち上げられなかった頃から、私たちが思い描いていた未来。
「それで、あなたは抱かせたの?」
私は目を逸らした。
「彼はアイビーに何も悪いことをしてない、メル」
「分かってる」
ウィリーは、怖かったから二つの別々の出来事を結びつけてしまった。
まだ8歳なのだ。
でも、クレアはそれでも私の目を見ようとしなかった。
「彼は何も悪いことをしてない」
「ロバートがお金を渡してから、何があったの?」
クレアはためらった。
「メル……」
「もういい」
私の声は硬くなった。
「もう、私に聞かせる真実を誰かに選ばせるのはたくさん」
彼女の目に涙がいっぱいになった。
「ロバート本人から聞くべきよ」
「じゃあ、私が何を聞けばいいのか教えて」
クレアはアイビーを見下ろした。
そして最後に、静かに言った。
「クラウディアにちゃんと別れを告げたのかって、聞いて」
私は黙って家へ戻った。
15分後、玄関を開けた。
私の姿を見ると、ロバートはすぐに立ち上がった。
「クラウディアを抱いたの?」
彼は凍りついた。
「ああ」
私は椅子の背もたれをつかんだ。
「どれくらい?」
彼は顔を拭った。
「たぶん20分」
「どれくらい?」
「20分」
20分。
私がもらえなかった時間より長かった。
「どんな顔だった?」
ロバートは泣き始めた。
喉が締めつけられた。
「私たちの娘は、どんな顔だったの?」
「メル……」
「私は娘の顔を知らないの」
彼は目を伏せた。
「君の口元に似てた」
声が震えた。
「それに、君と同じような目の形をしてた」
私は拳を唇に押し当てた。
彼が一歩近づいた。
「来ないで」
彼は立ち止まった。
「どうして言ってくれなかったの?」
「君が手術を受けている間に、彼女に会うか聞かれた」
彼は頬を拭った。
「もう手遅れだった。でも、医師たちは……」
「あなたは『はい』って言った」
「親のどちらかが抱かずに、彼女を送り出すことなんてできなかった」
その言葉が痛かった。
理解できてしまったからだ。
「じゃあ、どうして私には会っていないって言ったの?」
彼は床を見つめた。
「目を覚ました時、君は混乱していた。痛みもあった。もし話したら……」
「何?」
「君が全部知りたがると思った」
「知りたかった」
彼の顔が崩れた。
「それが君を壊してしまうのが怖かった」
私は彼を見つめた。
「あなたは、クラウディアがもう亡くなったのかって私に聞かれた」
「もし話したら……」
「そして、あなたは何て答えた?」
彼は黙った。
「『そうだ』って言った」
胃の奥が沈んだ。
「本当に?」
ロバートは答えなかった。
「ロバート」
彼はようやく私を見た。
「……まだ会えた」
私は一歩後ろへ下がった。
「じゃあ、あなたは自分の別れだけを私から隠したんじゃない」
声が震えた。
「私の別れまで奪ったのね」
彼は目を閉じた。
「あなたはいったい何から私を守ったの?」
私はほとんど声が出なかった。
「赤ちゃんのための母乳が出る体で目を覚ましたのに、その赤ちゃんはいなかった。私は今でも、あの子の部屋の前を通れない」
彼の顔が崩れた。
「間違った選択をした」
「目を覚ました後も、嘘をつき続けたことで、その選択を毎日繰り返したのよ」
彼は座った。
「間違った選択だった」
私は立ったままだった。
「病院から何かもらった? 思い出になるものとか」
沈黙。
「ロバート」
彼は何も言わなかった。
「何をもらったの?」
「カード」
「どこ?」
彼の目が階段のほうへ動いた。
「取ってきて」
少しして、彼は小さな封筒を持って戻ってきた。
私たちの間のテーブルに置いた。
「2週間も持ってたの?」
「ああ」
「見るの?」
彼の顔が歪んだ。
「毎晩」
私が2階で、クラウディアが声を出したかどうかさえ思い出せずにいた間、ロバートは毎晩、娘の形見を見つめていた。
私は封筒を開けた。
中には、小さなカードが入っていた。
そこには、二つの小さな足跡が残されていた。
その小ささを、私はすぐには理解できなかった。
小さなかかと。
小さなつま先。
私の娘は、確かにここにいた。
ただの想像ではなかった。
妊娠という事実だけでもなかった。
人々が声を落として語る悲劇だけでもなかった。
クラウディアは、確かに存在していた。
私は指先で、その小さな足跡に触れた。
「こんにちは、私の赤ちゃん」
声がほとんど出なかった。
「あなたはここにいた。ちゃんと存在していたのね」
背後から、ロバートの壊れたような声が聞こえた。
私は振り返った。
「あなたがアイビーを抱いた理由は分かる」
私はもう一度、足跡を見た。
「クラウディアを抱いた理由も分かる。私は手術中だったから」
私は唾を飲み込んだ。
「でも、まだ許せるか分からないのは、私が目を覚ました後にあなたが選んだすべてのこと」
ロバートは涙を流しながらうなずいた。
「今夜は下で寝て」
「分かった」
私はクラウディアの足跡が残されたカードを見つめた。
「それから、ウィリーと話さないと」
彼の顔が強張った。
「あの子は妹が生きてると思ってる」
「分かってる」
「違う、ロバート」
私はまっすぐ彼を見た。
「あの子は、クレアがクラウディアを連れていると思ってる。妹を連れ戻すために、お金を貯めてるの」
ロバートは両手で目を覆った。
「気づくべきだった」
「妹が生きてると思ってるのよ」
「俺も、そう思うべきだった」
その言葉に、私は動きを止めた。
この2週間、私は深い悲しみの中に沈み、出産後の身体に閉じ込められていて、息子に何が起きているのか気づいていなかった。
私はロバートの向かいに座った。
「私はまだ怒ってる」
彼が私を見る。
「あなたは、私たち二人に関わることを一人で決めた」
「分かってる」
「でも、アイビーはその選択の一つじゃない」
彼の目に涙が浮かんだ。
「別の赤ちゃんが欲しくて抱いたんじゃない」
「今は分かってる」
「彼女が泣くのを聞いて……」
彼は胸に手を当てた。
「生きているって、どんな音だったのか思い出したかったんだ」
その言葉で、私の中の何かが崩れた。
彼がなぜそうしたのかを理解しても、すべてが大丈夫になるわけじゃない。
でも、ようやくその行動の奥にあった悲しみを見ることができた。
「もう、お互いに相手が何を必要としているのか、勝手に決めるのはやめましょう」
私は言った。
ロバートはうなずいた。
「助けを借りよう」
「カウンセリング?」
「ああ」
私は彼を見た。
「私たちには必要よ。ウィリーには、ちゃんとそばにいてくれる両親が必要。そして私たちは、あの子に真実を話さないと」
その日の夕方、ウィリーは私たちの間に座っていた。
ロバートが深く息を吸った。
「クレアおばさんには、アイビーがいるんだよね?」
「うん」
「アイビーはクレアの赤ちゃんだ」
ウィリーは父親を見た。
「じゃあ、クラウディアは?」
私は息子の手を握った。
「クラウディアは病院で亡くなったの」
息子の目に、すぐ涙が浮かんだ。
「じゃあ……もう連れ戻せないの?」
私は手を強く握った。
「そうよ」
ウィリーは私に寄りかかり、泣いた。
ロバートも私たち二人を抱きしめた。
その時だけは、誰も何かを解決しようとはしなかった。
ただ、そこにいた。
1週間後、ロバートと私は初めてのグリーフカウンセリングを受けるため、建物の外に座っていた。
彼が私を見る。
「準備できた?」
「できてない」
彼は疲れたように小さく笑った。
「俺も」
私は彼の手を握った。
「それでいい」
彼が私を見る。
「もう、準備ができているふりをする必要なんてないから」
私たちは一緒に中へ入った。
その日の夕方、私はクラウディアの部屋の前で立ち止まった。
2週間もの間、私は閉じたドアの前を通り過ぎていた。
でも、この日は違った。

私はドアを開けた。
淡い黄色の壁は、私たちが最後に見た時のままだった。
窓の下にはベビーベッド。
棚の上には、ウィリーが選んだぬいぐるみのウサギ。
部屋に足を踏み入れると、胸が締めつけられた。
その時、背後から足音が聞こえた。
ウィリーが、お金の入った瓶を持って現れた。
「ママ?」
彼はウサギを見た。
それから瓶を見下ろした。
そして、ぬいぐるみを手に取った。
「クラウディアは、まだこれを持ってていい?」
私の目に涙が浮かんだ。
「ええ。もちろんよ」
私はクラウディアの足跡が残されたカードを、ウサギの隣に置いた。
ウィリーは私の手を握った。
その日、2週間ぶりに、私はクラウディアの部屋のドアを開けたままにした。
私は息子と一緒にそこに立っていた。
成長することのできなかった赤ちゃんのために、私たちが準備していたすべてのものに囲まれて。
悲しみは残っていた。
怒りも残っていた。
疑問も残っていた。
でも、クラウディアも残っていた。
私たちが望んだ形で生きているわけではない。
家に帰ってくることもない。
それでも、確かに存在した。
愛されていた。
覚えていてもらえる。
そしてようやく、閉ざされたドアの向こうに隠されることはなくなった。
