夫と私は、10年間、涙を流しながら子どもを授かる日を待ち続けてきました。そしてついに、双子の女の子を授かったのです。
しかし、緊急帝王切開の手術を終えて目を覚ますと、夫のアンドリューはどこにもいませんでした。
彼は、私が目を覚ましたとき、真っ先に目にするのは自分だと約束してくれていたのです。
それなのに、ベッドのそばの椅子は空っぽ。何度電話をかけても、彼は出てくれませんでした。
夫はどこへ行ったのかと医師に尋ねると、その表情が一変しました。
「ご主人は、お母様から電話を受けたんです。お母様は、双子の赤ちゃんがご主人の子どもではないという証拠があると主張されたそうです」
私は信じられない思いで医師を見つめました。
そして、義母が写真の入った封筒を手に病室へやって来たとき、私は彼女が私たちの幸せを壊すために、どこまでやろうとしているのかを知ることになったのです。
私の名前はエミリー。夫のアンドリューと私は、10年間、子どもを授かる日を夢見てきました。
数え切れないほどの通院、期待を裏切られる妊娠検査の結果、そして涙を流しながら互いを抱きしめて過ごした夜。
そんな日々の果てに、不妊治療が私たちに奇跡をもたらしてくれました。
双子の女の子です。
予定していた出産の日の朝、アンドリューは入院バッグの中身を丁寧に確認していました。
「充電器、スリッパ、ふわふわの靴下……」
そう言いながら、一つずつ確認していきます。

そして最後に、私の大好きなチョコレートバーを誇らしげに掲げました。
「これは出産が終わったあとにね」
私は思わず笑いました。
それがアンドリューでした。思いやりがあって、優しくて、いつだって準備を怠らない人。
ところが、そのとき彼の母親から電話がかかってきました。
「赤ちゃんが生まれたら、あなたたちの家に泊まり込むことにしたわ」
義母はそう宣言しました。
アンドリューは、私の母ヘレンがすでに産後の手伝いをしてくれることになっていると説明しました。
すると、義母は黙り込みました。
「まあ、ヘレンが手伝ってくれるなんて、ずいぶん素晴らしいことね」
その声には、隠しきれない不満がにじんでいました。
それでも私は、せっかくの大切な日を台無しにしたくありませんでした。
病院に到着すると、医師たちは合併症を発見し、全身麻酔による緊急の処置が必要だと告げました。
私はアンドリューの手をぎゅっと握りました。
「目が覚めたとき、そばにいてくれるって約束して」
彼は私の額にキスをしました。
「目を開けたら、最初に見るのは僕だよ」
数時間後、私が目を覚ますと、看護師が優しく微笑みかけてくれました。
「おめでとうございます! 元気でかわいらしい女の子が2人、生まれましたよ」
看護師は、私の腕の中にそっと娘たちを抱かせてくれました。
小さくて、完璧なほど愛おしい2人。
そのうちの1人が、小さな指で私の指をぎゅっと握りました。
私はベッドの横にある椅子へ目を向けました。
誰もいませんでした。
「アンドリューはどこ?」
私が尋ねると、看護師はためらいました。
「先生を呼んできますね」
私の心臓は激しく鼓動し始めました。
医師がやって来ると、アンドリューは赤ちゃんたちの顔を確認したあと、義母から不穏な電話を受けて病院を出て行ったのだと説明しました。
「お母様が、双子は彼の子どもではないという証拠を持っていると、ご主人に話したそうです」
私は自分の耳を疑いました。
アンドリューは、私たちが受けてきた不妊治療について、何もかも知っていました。
すべての診察にも付き添ってくれていたのです。
どうして、そんな馬鹿げた話を信じることができるのでしょうか。
私は何度も彼に電話をかけました。
しかし、返ってくるのは留守番電話の応答だけ。
とうとう私は義母に電話をかけました。

「アンドリューに何を話したの?」
義母は落ち着き払った声で答えました。
「直接、見せてあげるわ」
20分後、義母は大きな封筒を手に病室へ入ってきました。
そのころには、母も病院に到着しており、私の隣に座っていました。
義母は私の掛け布団の上に、何枚もの写真を広げました。
「赤ちゃんたちをよく見てちょうだい。ダニエルにそっくりじゃない」
ダニエルは、私たち家族が最も親しくしている友人でした。
彼は12年前からアンドリューと親交があり、私たちの結婚式にも出席していました。
義母はさらに、もう1枚の写真を取り出しました。
そこには、家族でバーベキューをしていたとき、ダニエルが私を抱きしめている姿が写っていました。
写真は不自然なほど切り取られ、まるで私たちが特別に親密な関係にあるかのように見えるよう加工されていたのです。
「ほら、これで全部説明がつくでしょう?」
義母は勝ち誇ったように言いました。
私はその写真をじっと見つめました。
そして、あの日のことを思い出したのです。
「アンドリューも、すぐ隣にいたわ」
母はすぐに、家族のグループチャットを検索し始めました。
数秒後、母は元の写真を見つけました。
そこには、誕生日ケーキを手に持ったアンドリューが、私たちからほんの数歩離れた場所に立っている姿が写っていました。
義母は、わざとアンドリューの姿を写真から切り取っていたのです。
私はダニエルに電話をかけました。
「アンドリューなら、ここにいるよ」
彼は電話に出て、そう答えました。
「お願い、病院に戻ってきて。アンドリューのお母さんに説明してもらいたいことがあるの」
20分後、目を赤くしたアンドリューが病室に入ってきました。
私は彼に2枚の写真を見せました。
切り取られた写真。
そして、元の写真。
彼は何も言わず、じっと写真を見つめていました。
やがて、彼は母親のほうを振り向きました。
「2人きりだったって、君は僕に言ったよね」
「あなたを守ろうとしただけよ!」
義母は必死に言い訳しました。
「いいえ、違います」
私は彼女の言葉を遮りました。
「あなたは家族の写真をわざと加工して、息子に私たちの結婚を疑わせようとしたんです」
義母はさらに何かを言い返そうとしました。
でも、もう十分でした。
「出て行ってください」
義母はアンドリューに視線を向けました。
「自分の母親を追い出すのを、黙って見ているつもりなの?」
アンドリューはドアを開けました。
「母さん、彼女が出て行ってほしいと言っているんだ」
初めて、義母は何も言い返せなくなりました。
義母が病室を出て行ったあと、アンドリューは私のベッドに近づいてきました。
「エミリー、本当にごめん」
私は彼を見つめました。
「どうして電話に出てくれなかったの?」
彼はうつむきました。
「先にダニエルと話をしたかったんだ」
私の目に涙があふれました。
「つまり、あなたは妻である私よりも、お母さんの言い分を信じたのね?」
彼は黙ったままでした。
「私は目を覚ましたとき、怖くて、ひとりぼっちだった。娘の1人が泣いていたのに、手術から回復している最中だったから、抱き上げることさえできなかったのよ」
アンドリューは泣き始めました。
「お願いだから、ここにいさせてほしい。やり直すチャンスが欲しいんだ」
私の心の一部は、今すぐ彼を許したいと思っていました。
でも、もう一方の心は、病院のベッドの横にあった空っぽの椅子を覚えていました。
彼が破った約束。
そして、わざと無視した電話の数々。

「退院したら、母の家で療養するわ」と私は告げました。
「私たちの結婚をこれからどうするのかは、気持ちの整理がついてから決める」
アンドリューはゆっくりとうなずきました。
病室を出る前に、彼は娘の小さな足にそっと触れました。
「愛しているよ」
彼はささやきました。
「わかっているわ」
私はそう答えました。
でも、もう愛だけでは十分ではありませんでした。
信頼を失った愛は、以前と同じものではなくなっていたのです。
彼が去ったあと、母は私が2人の赤ちゃんを同時に抱けるよう、そっと手を貸してくれました。
そのうちの1人が、小さな手で私の指をぎゅっと握りました。
私は10年間、この瞬間を夢見てきました。
思い描いていた始まりとは違っていました。
それでも、娘たちの顔を見つめながら、私はあることを確信していました。
たとえ私の結婚生活がこれからどうなろうとも、誰にも、私の子どもたちに「自分たちは望まれていない」「愛されていない」と思わせるようなことは、絶対にさせない。
それだけは、何があっても守り抜くと心に誓ったのです。
